動物行動学において、ある種類の動物に対して現実ではあり得ない刺激を与えると、 本来の反応を超えた強い反応を引き起こすことが確認されています。 このような強い反応を引き起こすトリガーを「超正常刺激」と呼びます。 この「超正常刺激」はヒトにおいても存在しており、いわゆる萌えキャラは ある種類のヒトに対して強い反応を引き起こさせているという説があります。
ある動物に対し、現実にはあり得ない刺激を与えると本来の反応レベルを超えた強い反応が得られることがあります。 例えば、ある種の鳥の雌は卵を保温する際、似た色・形状であれば実際の卵よりも大きな物体を選んで 抱卵しようとする傾向があります。そのため、現実には存在し得ない2倍・3倍といった 非常に大きな卵の模型を近くに置くと、雌鳥はそちらを選んで抱卵しようとします。 このように、実物よりも誇張された偽物のほうが、動物をより強く惹きつける効果を持つ場合、 その刺激を「超正常刺激」と呼びます。
縄文のビーナスと呼ばれる土偶があります。これは、1986年に長野県茅野市の遺跡より出土した縄文中期頃 に製作されたと考えられる土偶です。妊婦を象っていると考えられ、大きく張り出した臀部が特徴的です。 このように現実の人体より誇張された形状の土偶が作り出されたことから、当時の人々にとって 「大きな臀部」が強い魅力を持つ超正常刺激的な存在であったのではないでしょうか。
さて、現代では様々な人体を模倣したキャラクターが巷に溢れています。
どれも目が現実にはあり得ないほど大きく、鼻は記号的に小さく添えられているだけ。
また、猫耳・ケモミミ・角など異種交配的デザインも多く見られます。
このようなデザインは、現実の人体にはない刺激を与えるため、一部の人々を強く惹きつける
超正常刺激となっています。キャラクターグッズの購入や、キャラを「嫁」と呼ぶ行為は、
その刺激に対する過剰な反応の現れと言えるかもしれません。